生成AI時代、今からエンジニアを目指すべきか?
エンジニアキャリア生成AI
テックリードとして現場にも採用市場にも関わる私から見た、統計データと業界トレンドを踏まえた考察
はじめに
「エンジニアになりたい」と考える人が増える一方で、生成AIが“人の仕事を奪うのでは?”という漠然とした不安も根強い。
この状況に対し、経験とデータ、そして業界全体の動きから導き出される現実的な視点が必要だと感じ、この記事を執筆しています。
1. 採用市場とキャリア構造のリアル:数字から見える構図
市場全体の動向
- ITエンジニア不足は深刻で継続中:経済産業省の推計では、2030年には約79万人のIT人材が不足するとされます。
- ITサービス市場の成長基調は続く:国内ITサービス市場は、2024–2029年で年間平均成長率(CAGR)6.6%、2029年には約9.7兆円規模になるとの見通しです。(my.idc.com)
採用構造の変化とAIリテラシー
- 未経験者採用は大手企業中心で、依然として潰しやすいわけではないですが入り口はある。
- 「生成AIの活用経験」が求められる案件も増加し、今やAIリテラシーが評価軸の一つとなっています。(bloom-job.com)
2. 特定技術領域へのフォーカス:AI・クラウド・セキュリティが鍵
生成AI(AI活用)
- 生成AIは単なるコード支援ツールに留まらず、業務・意思決定・戦略構築まで変革する可能性を持っています。
- 「AIトランスフォーメーション」を支援できるエンジニアの価値は、中長期的に見て高まる一方です。
(dhbr.diamond.jp, bloom-job.com)
クラウド/インフラ
- 世界のITコンサルティング市場では、クラウドの普及とDXにより2028年にはCAGR12.7%で1,840億ドルに成長すると予測されています。(gii.co.jp)
- クラウドを理解し、導入・設計できるスキルは、単なるコードの書き手とは一線を画す存在へ導きます。
サイバーセキュリティ/ガバナンス
- DXとAI導入が進む中、企業はセキュリティリスクやガバナンスへの対応を強く求めています。
- この分野を担える人材へのニーズは年々高まっています。
3. ITコンサルティング業界の現状と展望:アクセンチュアを中心に
市場の成長と規模感
- 日本のコンサルティング市場は2023年度で約2兆円、CAGRは13%と高成長を続けており、IT/DX関連がその原動力です。(consul.global, consulfree.com)
- IDC Japanによれば、2025年のITコンサルティング市場規模は約1.58兆円(前年比8.2%増)。(consultenshoq.com)
プレーヤー別動向:アクセンチュアの独走
- アクセンチュア日本法人は約2.7万人規模、売上高は9,000億円台へと成長中。(toyokeizai.net)
- 2024年には2.6万人体制(2015年比で約4倍)との記録もあり、業界内で圧倒的な規模を持つに至っています。(note.com)
業界の構造変化と人材市場
- コンサルは「戦略」「業務」「IT」のレイヤーをまたがる総合力が求められ、AI/GX(グリーントランスフォーメーション)への対応も含め、高度な問題解決力が必須に。
- 一方で、企業からは「コンサルに見合った成果が得られない」との声もあり、戦略的価値と結果を両立する姿勢が求められています。(gartner.co.jp)
4. エンジニアとして特定領域に活路を見出す道筋
今後エンジニアを志す方にとって、以下の6つの視点はキャリア設計の“基盤”になると考えます:
- 生成AIへの深い理解と活用スキル
- クラウド/インフラに関する設計・実装能力
- セキュリティ/リスクマネジメント知見
- ビジネス変革の視点(IT × 戦略)
- コンサルティング業界への接近
- 成果へのコミットと定量思考
5. 結論
- 市場は厳しさを帯びつつも、未踏の領域への人材ニーズは高い
- 生成AIは脅威ではない、“共演者”である
- ITコンサル業界に向けても道はある
まとめ:今こそエンジニアへの道を選ぶ価値がある
生成AIの進展に不安を感じるのは自然ですが、むしろこの変化のただなかに「新しい価値を作れる人材であること」を目指す好機があります。
AI × クラウド × セキュリティ × ビジネス変革を自らの得意領域とすること──それがいま、エンジニアとして生き残り、そして飛躍するためのカギです。